当院では、子供からお年寄りまでを対象とした診療を行っております。
暮らしの中で皆様が日常的に経験される疾患について、より良い機能が発揮できるよう支援します。
例えば、生活の中では、思い通りの結果に繋がらないこと、社会情勢や多数決の論理の中で無意識に選択せざるを得なかったこと、様々な情報を得て間違いないと認識して行動した結果が期待とは逆の結果を生じることもあります。
うまくいかないと、様々なマイナスの感情が生じ、何が良くなかったのか、どうすべきだったのか、自分の陥りやすい欠点は何か、この情報は受け取らないようにしよう などと無意識に脳内情報処理を修正や捉え直しながら、自分自身が納得できる自己を維持していこうとする過程を通して自分らしさが表現されます。
繰り返される症状を訴える来談者の方の中には、自分自身が納得できる整合性の持てる情報処理が困難な状況にある為、自己イメージに違和感を生じ、生体系を介した様々な心理的、身体的反応が生じます。
他者にとらわれ、自己イメージに違和感が生じると、一人ひとりが何と無く感じている部分を周囲に伝えることを躊躇し、心からしたいことができず、潜在的に持ち合わせている機能が発揮できず、自分らしさを失ってしまいます。
多様性を受け入れ、各人が納得できる捉え方・思考によって、自己肯定型の自分らしい自我がこれからのより良い健康的なまちづくりに貢献するものと思います。
E. Berneによって創設された交流分析理論は「人はみなOKである。」という基本的立場をとるパーソナリティー理論です。
その弟子のDusayは、P(親) A (大人)C(子供) の自我をさらに次の5つの自我状態
に分類し、各エネルギーレベルをグラフ化することで、生じている問題そのものではなく、意識してこなかった心のあり方に視点を向け、なぜその様な状況に至ったのかについて、自我状態の解析を行い、今ここにある自分が、I’m OK, You are OKの状態に近づくことを手助けできるようにエゴグラムを創案しました。
P(親) A (大人)C(子供)の3者は、胎児期から現在に至るまでに、家族の中や地域社会の中での親、大人や子供との関係性の中で、様々な情報処理の要素を通じて、各人が、親、大人、子供というものを状況に応じた変化の中で獲得してきたものです。他者との関係性の中で、各々の自我が動的に変化しながら形成されてきたといえるでしょう。
交流分析理論は、ひとを理解する助けとして利用できるものです。
例えば、特に両親や権威ある人から主として幼児期に両親の何気ない言葉や反応をとおして無意識に子供であるな、健康であるな、感じるな、欲しがるな などの〜するなという禁止令としての情報を受け取っていなかったかを振り返り、これからは、より自由な自己選択の中で自分らしさを取り戻すことにつながる支援をします。
不定愁訴群を含む繰り返される症状に悩まれている方の中には、自然な子供の心 (FC) が低く、適応する子供の心(AC)が高い傾向があり、自己否定・他者肯定型 (FC<AC, CP<NP)を示し、自己を抑制しながら周囲に合わせ続けることで、自分らしさを失っていないだろうかと振り返ってみることも必要かもしれません。
相対的にACが高いのは、自分にとっての重要な人に承認されたい為に、自己を抑えて周囲に合わせようとし、両親、権威ある人や目上の人には従わなければならないという教育や社会的価値観を強く受け取り、習慣化されている場合もあるようです。
自然な子供の心(FC)が低いのは、周囲の環境の中で自己表現しづらい状況下にあるか、自己表現は恥ずかしいことであるとか、良くないことであるとの認識を無意識に受け取った可能性もあります。
重要なことですが、エゴグラムなどの心理テストは、時間経過の中で関係性や捉え方は変化するもので、絶対的なものではありません。より良い未来のために自分自身を振り変える道具として利用してください。
自然な子供の心(FC)が低いことが良くないということではありませんが、自然な子供の心(FC)が低いと、病気になりやすいという報告もあり、家庭や職場や地域の中で、各人が心からしたいことができる地域環境づくり、様々な自己表現を受け入れられる地域づくりが健康づくりとも関連して重要だと感じます。
現在の状況や環境とともに生育環境を通じての思考習慣について振り返り、より良い生活に向かっての自律した行動選択が取れるような支援を通して、よりよい変化がもたらされることを願っています。
病気は、生まれながらの遺伝因子と環境因子との相互作用で生じるとされていますが、環境ををどう捉えているかは、各人の生育・生活習慣や教育によっても随分違っています。
遺伝因子についても、教育や社会の中で経験して作り上げた自己イメージや生活習慣によって、複数の遺伝子情報が後天的にスイッチをon offしながら調節されている部分があることもわかってきました。
少子高齢化が進む中、情報化社会が進む中で、我々が感じる時間感覚は無意識に早められています。早くに何かをしなければならないと無理をさせられることも少なくありません。令和の時代を生き抜くには、時間に流されたとしても、一人ひとりが自分らしく、より良い自己イメージを維持できるような認識と環境整備が、健康につながるものと考えています。
どのような症状や相談で来られましたか?
受付で問診票をお渡しします。(受付:谷本 中島)